人生は旅だ

よもやま話に花が咲く

断崖絶壁から滑空する冒険野郎をセスナ機がお出迎え?

ウイングスーツ

羽のない人間にとって大空を鳥のように舞うことは永遠のロマンかもしれない。ただし、一度高所から落下してしまえば、容赦なく「死」が待ち受けている。この2人の男たちは一見すると無謀とも思える挑戦を勇敢に選択したのだ。果たして生死はいかに。

山岸に立ち向かう二つの命

標高4062メートルの雪が降り積もる高峰に立っている2人。登山家のように見える2人だが、そうではない。むささび*1のように空中を飛翔(ひしょう)するウイングスーツ*2フライングやスカイフライングと呼ばれる危険極まりないスポーツの一つだ。

ウイングスーツフライングを簡単にご紹介すると、ウイングスーツやむささびスーツと呼ばれる両手と両足それぞれの間に水かき*3のような膜を張った特殊な服を着て、上空から飛び降りるスカイダイビング*4の一種である。

今回彼らが挑戦するのは4000メートルもの高さから飛び降りた2人が、空中でセスナ機*5の開いたドアから乗り込もうとするもの。宙に身を躍らせる2人はもちろんのこと、セスナ機で彼らを捕捉する操縦士たちも失敗は許されない。仮に呼吸が合わずプロペラに接触してしまうようなことがあれば、大惨事は免れられない。

懸崖から飛び降りた2人は手足を最大限に広げ、落下というよりも優雅に風に乗っているかのようだ。しかし、落下速度は時速136キロメートル。要するに地面までの「命の時間」はたったの30秒しかない。

その30秒間に空中で体勢を整え、心を落ち着かせ、迎えに来るセスナ機に拾ってもらうわけだ。ただの命知らずでは務まらないのだ。縮み上がりそうな局面でも冷静沈着に行動する胆力も試されるからだ。

彼ら2人が飛び降りてからほどなくして、セスナ機の乗組員たちが最初に1人、その直後に2人目をドアから見事に迎え入れた。まるで掃除機で吸い取られるかのような2人が印象的だったが、緊張感にあふれる挑戦は大成功に終わった。

空中への憧憬(しょうけい)

緑色の大空

ウイングスーツは90年代中ごろフランス*6人スカイダイバーによって発明され、直ちに欧州や北米に普及したらしい。今ではウイングスーツでの最長飛行や最速飛行を競う大会も開催されているようだ。時速136キロメートルという速さにすら驚愕(きょうがく)したが、世界にはそれでは物足りない猛者が大勢いるようだ。

ダイビングが人を魅了して止まないのはスポーツとしての緊迫感とともに、人間にとって「不自由な空間」で自在に体を動かしたい欲求も一因だろう。オリンピック*7の体操競技で宙返り技を繰り広げる選手たち。また、メキシコ*8のマスカラス兄弟や日本のタイガーマスクなど空中殺法を武器とするプロレスラーに人気があるのはその証左かもしれない。

英雄たちのまねは到底できないが、「窮地を好機」に逆転させる魂は見習いたいものである。

(出典:YouTube

*1:〔古くは「むざさび」とも〕リス科の哺乳類。頭胴長40センチメートル,尾長35センチメートル 内外。体の背面は茶色,腹面は白く,リスによく似ている。体側・四肢と尾の付け根の間に,よく発達した飛膜があり,木から木へ巧みに滑空する。完全な夜行性。森林の樹上にすみ,果実・葉・若芽などを食べる。日本の北海道を除く各地と中国・朝鮮半島に分布。バンドリ。ノブスマ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*2:【wingsuit】滑空用のスーツ。手と胴体の間,両足の間に,ムササビのような飛膜(ひまく)がある。ムササビスーツ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:水鳥やカエルの手足の指の間にある膜。泳ぐときに水を搔くはたらきをする。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*4:【skydiving】飛行中の航空機から飛び降り,パラシュートを用いて空中を降下するスポーツ。パラシューティング。スポーツ-パラシュート。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*5:アメリカのセスナ(Cessna)社製の軽飛行機。転じて,軽飛行機一般をさす。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*6:【France】ヨーロッパ西部,大西洋と地中海に面する共和国。農業生産,特に小麦・ワイン・トウモロコシの生産が盛ん。また,鉄・ボーキサイトなどの資源も豊富で鉄鋼・石油化学・航空機・機械などの工業も発達。世界的な観光国。古くガリアといいローマ帝国の属州。中世,西フランク王国の地。一七~一八世紀にはヨーロッパに君臨。1768年コルシカ島をジェノバ共和国から購入。89年フランス革命が起こり,92年王制が廃され,共和制が樹立。ナポレオン一世の第一帝政を経て,1848年二月革命により第二共和制,52年第二帝政,普仏戦争後の第三共和制,第二次大戦後の第四共和制,1958年ド=ゴール政権による第五共和制を経て現在に至る。住民はラテン系で大部分がカトリック教徒。首都パリ。面積54万4千平方キロメートル。人口6503万(2011)。正称,フランス共和国。〔「仏蘭西」とも当てた〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*7:【Olympic】古代ギリシャのオリンピア祭での競技大会。古代オリンピック。国際オリンピック委員会( IOC )が主催する競技大会。近代オリンピック。フランス人クーベルタン男爵の提唱に始まる国際競技大会。古代オリンピックにならって四年に一回開かれる。第一回は1896年ギリシャのアテネで開かれた。1924年以降,冬季オリンピックも行われる。オリンピアード。五輪大会。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*8:【Mexico】北アメリカ大陸南部を占める連邦共和国。連邦政府直轄地(首都)と三一州から成る。国土はほぼ高原と山地。石油・天然ガス・マンガン・銀・鉛などの地下資源に富む。石油化学・鉄鋼などの工業が発達。トウモロコシ・サトウキビ・コーヒー・サイザル麻の栽培も盛ん。古くはマヤ文明・アステカ文明が繁栄。一六世紀にスペイン領となり,1821年独立。住民はメスティソとインディオ。大部分がカトリック教徒で,主要言語はスペイン語。首都メキシコ-シティー。面積196万平方キロメートル。人口1億863万(2010)。正称,メキシコ合衆国。〔「墨西哥」とも当てた〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)