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トヨタ・RAV4復活から読み取る!車の時勢のおもむくところ

斜め前方から見たベージュ色の4代目トヨタ・RAV4

2016年7月で国内販売が終了していたトヨタ・RAV4が、2019年春に新型となって復活することが決定された。現在では海外販売の大きな立役者となっているRAV4であるが、その新型モデルは日本でも果たして人気を獲得するのだろうか。

軽快さが売りであった初代RAV4

斜め側方から見た青色の初代トヨタ・RAV4

初代RAV4の国内販売が開始されたのは1994年5月であった。その頃の時代背景を見てみると、三菱・パジェロから火が付いたオフロード*14WD*2ブーム*3が第2世代に移行した頃と重なる。かつてはオフロード4WD、クロスカントリー*4ビークル*5などと呼ばれた車種は、いつしか「SUV*6」と呼び名が改められていた。

フレーム*7を備えるSUVには派生型として、気軽さや都会にも似合うおしゃれさを備えたスズキ・エスクードが1988年に登場した。この流れに拍車を掛けて乗用車化に傾いていったのが、現在世界的に流行している、乗用車系モノコックボディー*8にSUVの流れをくむ、力強い外観を与えた「クロスオーバー*9SUV」である。

初代RAV4が国産車としてクロスオーバーSUVの元祖となった。SUVの持つ堅固さ一辺倒をばっさりと切り捨てた初代RAV4。SUVほどの悪路走破性や丈夫さがないものの、反対に軽快さを手に入れることができた。

SUVの場合は耐久性が重視されるため、出力が車体に勝らない組み合わせが一般的であった。中央道の談合坂で時速100メートルを出せる能力があれば、馬力のあるSUVだと評された時代から間もなくのことである。当時の各社SUVはまだ鈍重であったので、初代RAV4の軽快さはひとしおだった。また、車体寸法も5ナンバーに収まる扱いやすいさもあった。

2000年には世界戦略車となった2代目RAV4が登場した。2005年には大きく車格を上げた3代目へと移行し、2016年7月までのおおよそ11年にもわたり、国内では販売されてきた。別途海外においては2013年に4代目へとなったが、日本市場への投入はなかった。

新型RAV4の要点を確認

斜め後方から見た赤色の4代目トヨタ・RAV4

2018年3月28日にトヨタがニューヨーク*10国際自動車ショー*11において、通算4代目となる新型RAV4が発表された。トヨタの広報を見ると、真のSUVらしさを追求使用性へのきめ細やかな配慮、などと記載されているが、どうにも抽象的でぴんと来ない。そもそもクロスオーバーSUVの定義が曖昧模糊(もこ)としているだけに、その不透明さが強調される形になったのかもしれない。

まず新型RAV4の特徴をかいつまんでみよう。

  1. プリウス、C-HRと姉妹車
    「トヨタの新しい車両づくりの方針」である「Toyota New*12 Global*13 Architecture*14(TNGA)」に基づくシャシー*15を使用。プリウス、C-HRと同様のTNGA「GN-C型プラットフォーム*16」が用いられる。
  2. 車幅拡大
    日本での最終型であった2代目の外寸は全長4600 × 全幅1815 × 全高1685ミリ。一方、4代目の新型RAV4は全長4595 × 全幅1855 × 全高1700ミリとなり、40ミリ全幅が拡大された。全幅で比較すると、同社ハリアーが1835ミリ、C-HRが1795ミリだ。
  3. TNGAに基づく新型エンジン、トランスミッション*17、4WD機構を搭載
    新型の熱効率40%達成を達成した2・5L*18直噴エンジン、ハイブリッド*19システム*20、8速トランスミッション、4WDシステムを搭載。

日本未登場となっている現行3代目RAV4は米国で2017年に約40万8000台を販売し、SUVとして1位になったことから話題となった。3代目RAV4は米国だけでなく世界中で人気となっており、全世界合計で同年約78万6600台が販売されている。ちなみに、日本でRAV4の後継車となったC-HRは国産乗用車中4位の人気ぶりではあったものの、国内で約11万7300台の販売数となっている。

SUV的要素を強調した新型RAV4である。トヨタは「強く意識した市場はない」としている。しかし、ハイラックスやタコマに通ずる大きなグリル*21を配したデザイン*22が米国人好みであることは疑いの余地がない。

この新型RAV4が2019年春に日本市場へも投入されることが決定した。

新型RAV4に搭載された4WDシステム

山間路を走る2代のトヨタ・RAV4

RAV4と言えば、初代が最も強い印象を与えたのではないだろうか。その後ホンダ・CR-Vを始めとして各社クロスオーバーSUVを投入してきた。そのため、2代目以降のRAV4は国内において、影が薄れてしまった感がある。

ジープ*23の原型であるMB / GPWの発展形として、ベトナム戦争*24以降から活躍しているM151ジープを念頭に開発された初代RAV4であった。モノコックボディーと4WDシステムの組み合わせが、両者の大きな共通項である。初代RAV4はSUVの全盛期に登場した初の「クロスオーバーSUV」だったことから、現在の目線だと硬派な車種に映る。FF*25も設定されたが、主力は4WD車である。グレード*26によってはセンターデフ式4WDの構造に加え、後輪ディファレンシャル*27にはトルク*28感知型であるトルセン式LSD*29も組み込まれていた。

新型RAV4のガソリン車にもTNGAに基づく新4WDシステム「ダイナミック*30トルクベクタリングAWD」が搭載された。このダイナミックトルクベクタリング機構だが、走行状況によって後輪のトルクを左右独立し、電子制御・連携して前輪ブレーキ*31も左右独立でかけられる。これにより、コーナリング*32中のスリップ*33で軌道を逸しようとしている際に自動制御を可能にする役割を持つ。

同時に備わっているディスコネクト機構であるが、これは4WDとFF駆動の選択肢を持つものだ。FFベース*34の4WD機構ではトランスミッションでFFに切り替える操作を行なっても、後輪の駆動系はタイヤ*35側から無意味な空転をさせられていることとなる。そこで、後輪側でも駆動系を切り離し、FF走行時の無駄な抵抗を排除する仕組みとなり、好燃費につながる。車種は異なるが、これをかつて手動で行なっていたのはSUVに取り付けられていた「フリー*36ホイール*37ハブ*38」である。

新型RAV4などのクロスオーバーSUVはエンジンもFFベースの横置きであり、本格的に野山を走るに不可欠な副変速機は備わっていない。この新4WDシステムも、あくまで悪天候の舗装路や、少々の不整地までが想定されたものである。M151の後継を目指した初代RAV4もしかりだが、不整地の走破性は新型RAV4よりも優秀なはずだ。

まとめ

4代目トヨタ・RAV4の内装

新型RAV4に搭載された新4WDシステムなどから、昨今の車つくりの大局は運転技能を半ば無視し、いかに安全性を確保するかの一点張りとも感じる。旧式の車両で走行したら、とっくに走路を外れているような場面でも、新型の車両なら運転手は危険を感じずに走破できてしまう。

日本の2017年通年における販売台数ランキング*39はトヨタ・プリウス、日産・ノート、トヨタ・アクアといったハイブリッド車が1位から3位を占めている。そして、4位にRAV4後継車のC-HRがランクイン*40している現状だ。

ハリアーと同格、もしくはそれ以上となる新型RAV4が日本でどのように受け入れられるのか見物である。「帰国子女」のハイラックス同様で日本市場には「おこぼれ」が投入される形となる。そのため、もろ手を挙げて歓迎すべきではないだろう。世界でおしなべて人気のRAV4であるが、特に米国での需要が高い。ところが、一新されて新型RAV4となっても、どうも魅力が際立ってこないのだ。

RAV4に限ったことではないが、一体いつになれば「本来の輝き」を取り戻してくれるのかと、日本の自動車ファンも首を長くして待っている。ハイラックスしかり、日産・スカイラインしかりである。

消費者の大部分は一昔前のように、カタログ*41をかき集めて比較検討をしなくなったそうだ。しかし、本当に良いものは「名が通るもの」に感化されるのではなく、直感も含めた「自らの物差し」で決定すすべきだと、改めて肝に銘じておきたい。

そして、人工的に醸成された「はやり廃り」に大挙してむやみに追随してしまえば、日本発の「真の名車」が消滅してしまうことを決して忘れてはならないのだ。

(出典:トヨタ自動車株式会社

*1:【off-road】野山や砂浜など、道路から外れている所。また、舗装していない道路。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*2:(4 wheel drive)前後4輪すべてに駆動力を配分する構造。また、その機構を持つ自動車。高速走行・悪路走行に適する。四駆(よんく)。四輪駆動。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*3:【boom(アメリカ)】ある物事がにわかに盛んになること。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*4:(cross-country race)原野・丘陵・森林などを横断するコースで行う競走。断郊競走。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*5:【vehicle】乗り物。特に,自動車。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*6:【sport utility vehicle】スポーツタイプ多目的車の総称。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*7:【frame】自転車・自動車などの車体枠。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*8:【monocoque body】自動車などの,車体とフレームとが一体化した構造。フレームレス-ボディー。単体構造。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*9:【crossover】在来の種々の要素を組み合わせて新たなものを作り出すこと。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*10:【New York・紐育】アメリカ合衆国北東部、大西洋岸の州。独立13州の一つ。州都オルバニー。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*11:【show】展示会。発表会。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*12:【new】新しいさま。新奇なさま。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*13:世界全体にわたるさま。世界的な。地球規模の。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*14:建築。建築様式。建築学。構造。構成。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*15:【châssis(フランス)・chassis(イギリス)】自動車などの車台。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*16:【platform】自動車生産で,異なった車種の間で共通に用いる車台。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*17:【transmission】(自動車などの)歯車式変速装置。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*18:(litre; liter)リットルの略号(L かつてはl)。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*19:ハイブリッド‐エンジンにより走行する自動車。効率の良い回転数域だけで内燃機関を利用したり、回生ブレーキで得た電力を電気モーターで利用したりできるので燃費が良い。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*20:【system】複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。組織。系統。仕組み。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*21:【grille】自動車の前部につけた格子。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*22:【design】意匠計画。製品の材質・機能および美的造形性などの諸要素と、技術・生産・消費面からの各種の要求を検討・調整する総合的造形計画。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*23:【Jeep(アメリカ)】(general purpose car の頭文字GPの転。一説に、ポパイの漫画の架空の小動物の奇声による)四輪駆動の小型自動車。アメリカで軍用に開発。商標名。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*24:1960~75年の北ベトナム・南ベトナム解放民族戦線(60年結成)とアメリカ・南ベトナム政府との戦争。65~73年にはアメリカが大量の派兵を行なった。周辺諸国などをも巻き込む。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*25:(front engine front drive)自動車で、車体前部にエンジンを置き、前輪を駆動する方式。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*26:【grade】等級。段階。品等。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*27:【differential】差。格差。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*28:【torque】原動機の回転力。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*29:【limited-slip differential】差動制限装置。自動車の左右の駆動輪が荷重変化や路面変化などにより片方が空転すると残る車輪も回転力を失うことから,双方の回転力や回転速度の差が大き過ぎるときディファレンシャル-ギアの作動を抑制したりロックさせて回転力を確保するもの。ノンスリップ-デフ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*30:【dynamic】躍動的で力強さを感じさせるさま。動的。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*31:【brake】車両その他機械装置の速度・回転速度などを抑えるための装置。手動ブレーキ・真空ブレーキ・空気ブレーキなどがある。制動機。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*32:【cornering】スケートや自動車などで、コーナーを曲がること。また、その技術。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*33:【slip】滑ること。特に、自動車のタイヤが路面で滑ること。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*34:【base】土台。基礎。基本。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*35:【tire; tyre】車輪の外囲にはめる鉄またはゴム製の輪。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*36:【free】自由なさま。束縛や制約がないさま。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*37:【wheel】輪。車輪。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*38:【hub】車輪などの中心部の、軸とスポークの間の部材。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*39:【ranking】等級づけ。順位。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*40:【rank in】順位表に載ること。一定の順位内に入ること。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*41:【catalogue(フランス)・(イギリス)・catalog(アメリカ)・型録】(「型録」は当て字)目録。商品目録。営業案内。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)