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タイのタクシーは乗車拒否やぼっ手繰りが日常茶飯事?

客引きしているバンコクのタクシー運転手

近年、話題になっているタクシーの乗車拒否やぼっ手繰り。看過できない悪質なものもあり、タイでニュースになるほどだ。観光業に注力している政府も「悪影響」を排除するために躍起になっている。今回はそんなタイのタクシーの実態に迫ってみた。

2017年10月24日:用字用語の整理。

タイのタクシーは皆が悪質なのか?

高架鉄道の下を走るタクシー

2015年に日本人の男性がFacebook(フェイスブック)でバンコク*1のタクシーのぼったくり行為を告発した。それに端を発し、呼応した悪質な運転手がタクシーに「日本人の乗客拒否」のはり紙をして物議を醸した。

この問題は会員制交流サイト(SNS)で拡散されて、タイのテレビ局もこぞってニュースで取り上げた。それにより腰が重い警察も動かざるを得なくなり、当該タクシー運転手に1000バーツ*2(約3378円/2017年10月4日現在)の罰金とタクシー業務による空港への出入り禁止を科した。

タイの空港でタクシーをよく利用する方は、メーターを利用することを拒絶するタクシーに出くわしたことがあるはずだ。ただ、その場合は別のタクシーに乗車するのが得策だ。無駄な時間といらいらを募らせてしまっては、骨折り損のくたびれもうけだからだ。

バンコクの交通渋滞の映像には必ずといっていいほどタクシーが何台も映り込んでいる。つまり、おびただしい数のタクシーが走っているのだ。もちろん中には悪知恵が働く運転手がいるはずだ。それは日本とて同じだろう。ただ、日本よりも割合が高いことは念頭に置いておくべきだ。

タイの運転手がぼっ手繰る理由

積まれたタイの硬貨

では、核心に迫ってみたい。なぜタイのタクシー運転手がぼっ手繰りに手を染めてしまうのだろうか。内情を知るとその「理由」が浮き彫りになってくる。

それはタクシーの運賃が低廉であることだ。十数年前から初乗り運賃は1キロメートルまで35バーツと値上げをせずに維持されている。昨年あたりから1キロメートル以上からの運賃の微増があった。また、今春からは人口が集中するバンコク都、チェンマイ*3県、プーケット*4県、コーンケン県、スラータニー県、サムイ島以外の地方で登録されたタクシーを対象として、初乗り35バーツから40バーツに値上げされた。

このようにタクシー運賃の見直しが図られているが、まだまだ運転手の賃金にまで反映される規模ではない。このことが長年にわたり運転手の「不祥事」の一因になっていることは否めない。

また、近年になって急激に利用者数を増やしているUber(ウーバー)などの配車サービスも賃金競争に拍車を掛けている状況であろう。ウェブサイトやスマホ*5アプリを介して顧客が利用できる上、一般人も自家用車を利用して副収入を得られる仕組みが好評なのだ。タイの関係当局が外資の配車サービスを締め出す日もそう遠くないかもしれない。

バンコクのタクシーを色で判別

黄色と緑色のひまわり

個々人の良心によるのは言うまでもないが、バンコクのタクシーは色を選ぶことで、損害を受ける可能性を低くできるのだ。

タイ旅行にこなれているならまだしも、そうでないならば、よほどの事情がない限り「黄色と緑色のツートーンカラー*6」は回避するのが賢明だ。なぜならば、個人タクシーだからだ。法人タクシーと異なり、自動車の賃貸料金と燃料費用を自腹で負担しなければならず、悪意を持った行為に及ぶ動機につながりやすいためである。

しかし、いわく付きの「黄と緑」だが、交通渋滞をかき分けて猛烈に先を急いでくれたり、機転を利かせて最寄り駅で途中で降車させてくれたりしたのも事実だ。あくまで「人によりけり」だと改めてお断りしておきたい。

軍事政権下によるタクシーの取り締まり

刑務所のろう屋

日本人男性によるFacebookでの告発以降、軍事政権も粗悪なタクシーの取り締まりに積極的に乗り出している。走行距離や時間によって運賃が自動計算されるメーターを改ざんしているタクシーを摘発し、運転手のマナー改善に必死になっている感がある。

その理由は明白だ。タイが観光立国としてのメンツを保たなければならないからに他ならない。以前は初乗り運賃の表示が35バーツでなかったり、異常な早さで値上がりする改ざんメーターを目にされたりしていたが、だんだん減っていく傾向である。

ただし、バンコクでは雨天や出勤・帰宅ラッシュ*7など交通渋滞による乗車拒否が、いまだに横行しているからご注意願いたい。

バンコクのタクシーの距離に対する交通料金(2017年10月4日現在)

  運賃
~1km (初乗り) 35バーツ
1~10km 1kmごとに5.5バーツを加算
10~20km 1kmごとに6.5バーツを加算
20~40km 1kmごとに7.5バーツを加算
40~60km 1kmごとに8.0バーツを加算
60~80km 1kmごとに9.0バーツを加算
80km~ 1kmごとに10.5バーツを加算

バンコクのタクシーの時間に対する交通料金(2017年10月4日現在)

  運賃
時速6km以下で徐行 1分ごとに2バーツを加算
停車

日本のタクシーのように深夜・早朝の割増はない。ただし、「空港から」の利用にはメーターに表示されている運賃の他に50バーツを追加する必要がある。

タイの粗悪なタクシーへの対応策

BTSと自動車

タイのタクシーの乗車拒否やぼっ手繰りにどのように対応すべきだろうか。雨降りや時間帯などによって交通渋滞が起きているとき、タクシーへの乗車を拒まれることは付き物だと考えよう。乗車を断られたタクシーに固執することなく、さっさと次のタクシーと交渉を開始するのが一番である。

次から次へとタクシーが走ってくるので心配はご無用である。くれぐれも日本の常識を持ち込んで、かりかりして怒鳴り付けないことだ。温厚でひょうきん者が多いタイ人だが、一度激高してしまうと、見境なく暴れ回るのも珍しくないから注意してもらいたい。

また、乗車する前にメーターが使用できるか否かを確認しよう。固定料金を要求してくる場合は法外な値段であることがほとんどだ。さっと切り上げて次のタクシーを待とう。

交通渋滞のときは目的地の最寄り駅までBTS(高架鉄道)やMRT(地下鉄)を利用するのが時間の節約にもなり最善だ。そこからタクシーに乗車するのが賢く道理にかなっている。

もう一点。降車時の支払の際に「釣り銭がない」と言い張る運転手が多い。だから、あらかじめ20バーツ、10バーツ小銭を用意しておくことをお勧めする。例えば運賃が46バーツだったら、50バーツを渡して硬貨のお釣りはチップ*8とするのが手際が良い。

まとめ

象と象使い

タイ王国はタクシーに限らず「自由」な側面がある。だから、日本特有のきっちりとした環境からすると、しゃくに障ることが多々あるはずだ。しかし、悪質な運転手だったら、やり過ごせばいいと自分に言い聞かせておこう。こちらも「自由」を楽しむことを意識すればいいのだ。帰国したときには旅の思い出が楽しさで上書きされているに違いない。

タイ人の名誉のために補足しておくが、「不良ドライバー*9」は極一握りのやからだけである。彼らを軽くあしらえるようになれば、一人前のタイ通といえるのかもしれない。

そして、昔のタイの国旗に描かれていた象を乗りこなすことで、一流のタイ名人に格上げになるはずだ。小銭ではなく大好物のフルーツをどうかお忘れなく。

*1:【Bangkok】タイ王国の首都。チャオプラヤ川河口から20キロメートル 上流に位置する河港都市。華僑が多く,米・チーク材などを輸出。宮殿や古寺院が多い。バンコック。〔「盤谷」とも当てた。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)〕

*2:【baht】タイの通貨単位。記号 B または Bt 。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:【Chiengmai】タイ北部にある都市。チーク材・米などの集散地。絹織物・陶器・漆器を産する。ランナータイ王国の王都として栄えた。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*4:【Phuket】タイの南部,マレー半島の北西岸沖にある小島。錫の大産地。本土とは橋で連結され,観光業が盛ん。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*5:パソコンに準じる機能をもつ携帯電話端末。通話機能のほか,メールやブラウザーなどのネット機能,住所録や日程管理などの情報管理機能などをもつ。多くの場合,高度なカスタマイズが可能。スマートホン。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*6:〔和製語 two-tone+color〕互いに調和する二つの色を組み合わせること。ツートン-カラー。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*7:【rush】物事が一時に集中して起こること。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*8:【tip】サービス業の従業員に客が与える,料金以外の金。祝儀。心づけ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*9:【driver】運転手。運転者。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)