人生は旅だ

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タイ王国で決してやってはいけない八つのこと

タイ王国の国旗

タイ王国は世界屈指の親日国である。また、日系企業も多数進出しているため、日本人と接する機会も多く、理解ある態度がほとんどだ。しかし、全てが許容されるわけではない。日本と異なるタイの慣習を踏まえ、禁忌を犯さないようにしなければならない。

2017年10月24日:用字用語の整理。

国王の縁合いを誹謗(ひぼう)中傷するな!

“夜のエメラルド寺院"

タイには「不敬罪」が存在し、次のように制定されている。

国王、王妃、王位継承者あるいは摂政に対して中傷する、侮辱するあるいは敵意をあらわにする者は、何人も三年から十五年の禁固刑に処するものとする。(刑法 第112条)

前国王であるプーミポン前国王ことラーマ9世は国民からこの上なく敬愛されていた。タイでは王室を敬う風習がある。

例えば、毎朝8時と毎夕18時に公共施設や公園などで国歌が流れる。その瞬間、歩行していた人たちは直立不動になる。また、映画館でも上映前に国王賛歌*1が流れ、起立する必要がある。ただ、外国人に対して情け容赦なく適用されることはまずないだろう。

しかし、インターネット上での言動も含み、国王の縁合いに罵詈(ばり)雑言を浴びせるような行為はくれぐれも慎んでほしい。殺人罪より厳しい刑罰が科せられると海外メディアからやゆされたこともあるほどだ。

プーミポン前国王が母国のために東奔西走され、汗の結晶が国民からの全幅の信頼につながったことは疑いの余地がない。それは当局の捜査が及ばない場所においてもタイ人たちの絶賛を博しているのを、目の当たりにしてきたからだ。

ここでは時間的な制約からワチラーロンコーン国王ことラーマ10世についての論評は差し控えたい。

政治的な議論をすべきでない

“黄色と赤色のパプリカ"

タイでは歴史的に政権争いによる政治的論争が長く続いていた。そして、幾度となくクーデター*2が繰り返されてきた。

ここではタイ人の国民性を一般的に述べていく。その一方で「十人十色」という言葉を覚えておいてほしい。

タクシン派の赤色シャツ・反タクシン派の黄色シャツという派閥による紛争で、多くの流血事件が起きたことは記憶に新しい。現在の軍事政権に移行に伴い、半ば強制的に沈静化された。しかし、問題は2018年以降に実施される予定の民政移管後だ。予断を許さない情勢であることには変わりない。また、中共寄りの軍事政権は非難に対して厳格に取り締まっている。

一時期は、着用する衣服の色も心配する必要があったほどだ。いずれにしても、己の言動や行動がとんだ結末に陥ることがないよう細心の注意を払ってもらいたい。

へべれけになって口争いをすべきでない

“暗がりにあるビール"

特に夜のクラブやバーで酒の勢いそのままにタイ人男性と言い争いはしないようにしよう。なぜなら、彼らは酒に飲まれることが非常に多く、後先を考えずに感情任せに行動してしまうことが多いからだ。お酒を扱うお店で口論から拳銃を発砲するまでに発展し、死傷者が出るのは日常茶飯事のニュースである。

酒の席は時として「ほほ笑みの国」ではないと肝に銘じてほしい。常日頃は温和な性格のタイ人が逆上した際は、極めて危うい。

もし、けんかに巻き込まれても、変な意地は張らずに、懸命な選択をしてもらいたい。命あっての物種である。護身術の某師範の指導を覚えておいてほしい。武器を所持している敵に対する、最善の方法は「逃げること」である。

女性は僧侶に触れてはいけない

“バラの花びらの上を歩くタイの僧侶"

タイの仏教は、小乗仏教*3で日本より厳格な戒律を僧侶は遵守している。日本のお坊さんのように結婚することは当たり前のこと、女性に触れることすらできない。

そのため、僧侶が狭い通路の向こうからやって来た場合は、特に女性は配慮して道を譲るようにされたい。

バスの車掌が女性の場合、僧侶と直接のやりとりができないため、一度男性客を迂回(うかい)して、切符を渡す光景などが見られるのはこのためである。

寺院では極度に肌の露出をすべきでない

“チェンライのワット・ローンクン"

タイ観光で外せないのは、寺院巡りではないだろうか。タイ人は仏教への信仰心があつく、寺院は神聖な場所だ。だから、粗相のない服装を厳守すべきである。

可能な限り襟付きのシャツに長ズボンが好ましい。少なくともノースリーブ、タンクトップ、短パン、ミニスカートなどの着用は自重すべきである。

また、お寺以外の場所においても節度をわきまえた身なりを心掛けてほしい。

露骨に怒りを表すべきでない

怒りの拳

タイ人に対して憤りをあらわにしてはいけない。相手に伝わらないどころか、返ってこちらの気分が悪くなることも多々ある。タイでの貴重な時間を台無しにしてしまぬよう注意してもらいたい。

タイでは仏教の教えから怒ることは恥ずべき行為として幼少の頃から教育を受けている。だから、タイ人は軽々に怒りを表出することを忌み嫌う傾向にある。万が一怒ってしまっても、羞恥を覚えるためか、ほほ笑みで覆い隠すこともあるくらいだ。要するに、タイ人は「怒」への免疫があまりない。

店側に不備があった場合、日本では十中八九が適切に対応してくれる。しかし、タイではその「当然」が通用しないことがあるのだ。激高して苦情を言えば、従業員がへそを曲げて、そっぽを向いていることも無きにしもあらずだ。

楽しみなタイでの時間が、ふいになってしまってはいけない。だから、問題に直面してしまった場合でも、人前で辱めを受けることを極度に嫌う、誇りの高いタイ人のことを思いやり、いさめるようにすれば解決するだろう。タイ人もわれわれに気を遣っていることを忘れてはいけない。

メーター制のタクシー以外に乗車しない方がよい

バンコクのタクシー

タイではメーターが付いているタクシーがほとんどである。しかし、土地勘のない観光客と知るや、メーターを倒さず作動させてない、邪な考えの運転手をちらほら見掛ける。

ぼっ手繰りをさせない方法

タイの硬貨

タイでは乗車前に行き先を告げてから乗り込む。行き先によっては交通渋滞などの理由で乗車拒否されることもあるのであらかじめ覚えておいてほしい。そして、乗車の際に必ず「メーター?」とメーターを指さして確認してから発車させよう。

経験則によれば、停車して客引きをしている運転手は相手にせず、流しのタクシーを停車させる方が、いざこざに巻き込まれる確率が圧倒的に低い。タクシーを停車させる際は地面に対して垂直ではなく、水平に腕を上げるようにしよう。何台か確認すれば、必ずメーターで走るタクシーが現れるので、諦めずに交渉するべきだ。

また、交通渋滞がひどい時間帯や雨の日などは、移動時間を節約できることが多いBTS(高架鉄道)やMRT(地下鉄)をお勧めする。

便所にトイレットペーパーを流さない方がよい

トイレットペーパー

タイの便所で失敗する人がいる。「ぼろくそ」にけなされるかもしれないので注意が必要だ。

日本では大衆向けのショッピングセンターや公衆便所でウォシュレット付きが普及している。タイでも最近では清掃が行き届き、清潔感はあるのだが、一つだけ覚えておいた方がよいことがある。タイのトイレットペーパーは日本のように水溶性ばかりではないので、詰まってしまうことがあるのだ。だから、脇に置いてあるくず箱に捨てるようにしよう。

まとめ

タブーから少し軽いものまでタイで「すべきでないこと」を抽出してみた。「旅の恥はかき捨て*4」という言葉を、タイのお国ぶりを無視してよいと勘違いしてはいけない。だからこそ、礼節として上から六つ目までは、ぼんやりでよいので覚えてもらいたい。

便所をつかえさせて水浸しにするぐらいなら、修理費を「だいべん」してくれるかもしれない。

*1:ほめたたえる気持ちを表した歌。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*2:【フランスcoup d'État】既存の政治体制を構成する一部の勢力が,権力の全面的掌握または権力の拡大のために,非合法的に武力を行使すること。国家権力が一つの階級から他の階級に移行する革命とは区別される。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:自己の悟りを偏重する仏教。大乗仏教徒が,特に利他主義の立場から,従来の伝統仏教に対して与えた称。スリランカ・ミャンマーなど南方仏教はこの系統に属する。批判的な意味をもたない場合は上座部仏教・南方仏教と呼ぶ。小乗。小乗教。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*4:旅先では知る人もいないし,長く滞在するわけでもないから,恥をかいてもその場限りのものである。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)