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山田哲人選手の復活への闘い!極度の不振にあえぐ原因は?

打撃にかかる明暗

2年連続で打率・本塁打・盗塁のトリプルスリーを達成し、前人未到の成績を残した。球界屈指の打者に登りつめた東京ヤクルトスワローズの山田選手。しかし、今期はスランプに陥り、3年連続の偉業は絶望的となった。天才打者に何が起こっているのだろうか。

2017年12月5日:用字用語の整理。

不振のきっかけとなった二つのデッドボール

史上初の2年連続トリプルスリーをつかみ取り、打撃タイトル*1を総なめにしてきた山田選手。誰しもがその実力に疑いのない好打者だ。

しかし、今期はここまで打率.248・23本塁打・14盗塁(9月19日現在)と、これまでの活躍からすれば実力を遺憾なく発揮できていない。一時固め打ち*2はするものの、好調が長続きせず、なかなか安定して結果を残すことができていない。

原因は多岐にわたっているであろうが、一転機となったのは昨年に受けた2度の肋骨(ろっこつ)へのデッドボール*3であろう。1度目の7月20日は肋骨(ろっこつ)の骨挫傷*4と診断され、これまで故障知らずだった山田選手が、初めてのけがによる登録抹消となった。そして、ようやく復帰を果たした9月11日の試合でも、再び同じ箇所に2度目の死球を食らってしまう。内角攻めは「強打者の証」とはいえ、泣きっ面に蜂だ。

記録が懸かっていたこともあり、痛みを抱えながらも強行出場した。しかし、それ以降の打率は8月.271、9・10月は.167と一挙に落ち込み、2年目のトリプルスリーは血を吐く思いでなんとか成し遂げたのだった。山田選手はぶつけられたときの「球筋の残像」にさいなまれていると語っている。インコース*5を過剰に意識してしまうが故、アウトコース*6の投球に対応できなくなってしまっているのだ。

  打率 死球
3月・4月 .340 2
5月 .323 0
6月 .346 1
7月 .333 2
8月 .271 1
9月・10月 .167 2

事実、死球を受ける前は15・2%であった三振率が、8月以降は22・9%と悪化している。外角の変化球を見極めることができず、空振りする姿が目立った。どんな球にでも反応して、際どい球を意図的にファウルボール*7にするカット打法で粘り、好球必打で仕留める天性の打棒が鳴りを静めている。

時には150キロをも超える硬球が直撃した瞬間に、それまでに感じていなかった恐怖感が突如として襲いかかり、制御できなくなる。頭ではわ分かっていても、フラッシュバック*8してしまい、条件反射*9してしまうのだ。

過去には死球で亡くなった大リーガー*10の先例すらある。頭部の死球のせいで、本来のバッティング*11を取り戻すことができなくなり、あえなく引退を決意した選手さえいるほどだ。

山田選手には、育ての親である杉村繁コーチとともに築き上げてきた幾つものルーチン*12があり、それを着実に消化することで安定した成績を残してきた。不振の間にも確実にメニューをこなし、杉村コーチも試合で結果を残す度に手応えを口にしたが、打撃が輝きを取り戻すことはなかった。

山田選手の場合は、技術面でたゆまぬ努力を続けている。しかし、体がどうしても内角に行き過ぎた意識を示してしまう。不振の原因については枚挙にいとまがないが、この体の開きは解説者や球団OBなどの誰しもが指摘するところである。不振の主因がこの精神的な部分に由来するならば、そこからの復活の道のりは容易ではないだろう。

WBC出場による後遺症?

もう一つ考えられるのがWBC*13の影響だ。例年よりも早い時期からの調整を強いられ、じっくり時間をかけての体作りがままならず、そのままセ・リーグの開幕を迎えてしまうためだ。

しかし、山田選手に関しては、そういった調整の問題に加えてWBCで世界を体感したからこその、技術的な影響があると考える。WBCでは世界レベルの投手との対戦を経験することができた。特に準決勝の米国戦では、大リーグ*14でも指折りの投手と対戦した。その直球は150キロ近いスピードで動き、低めに制球されていた。まさしく世界最高峰の「ベースボール」を見せ付けられた格好だ。

山田選手は1死球1犠打とチームに貢献するも、2打数ノーヒット*15と振るわなかった。山田選手は試合を振り返って以下のように見解を述べている。

打撃フォーム「変えないといけないかも」

(引用:産経新聞社

これまで杉村コーチと二人三脚で現在の打撃フォームを作り上げ、2年連続トリプルスリーを達成してきた。そして、天才とも評され、自負心を持っていた打撃だ。

ところが、世界を相手にしたときに痛感させられた、歴然たる力の差。焦燥感にも似た気の迷いが生じたのかもしれない。大リーグ挑戦について問われ、包み隠すことなく真っ正直に「興味有り」と答えた。だから、手も足もでなかった自分に対して、何も思うところなく帰国してきたはずがないのだ。

まとめ

どの球種にも反応できる対応力や内角をさばく絶妙な技術。スランプ*16を感じさせない安定感。長打力と走力を兼ね備えた抜群の身体能力。全てにおいて高水準を併せ持つ選手だ。

その「天才」がもがき苦しんでいる。

「打って当たり前」の山田選手だからこそ、今年の不振はなおさら目を引いてしまう。そして、種々さまざまな要因が挙げられるが、乗り越えるのは本人であり、本人にしかできないのだ。

このぶち当たった壁を打破し、さらに一皮むけて強靱(きょうじん)な肉体と精神を手に入れたなら、一体どこまでの「怪物」に化けるのだろうか。

一野球ファンとして、日本球界を背負って立つ「男」の復活を心から祈りたい。

*1:【title】ある部門の最高記録を持つ者や,最優秀と認められた者に贈られる称号や地位。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*2:野球で,一人の打者が一試合で何本もの安打を打つこと。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:〔和製語 dead+ball〕野球で,投球が打者の体または着衣に触れること。打者は一塁へ進塁することができる。死球。〔アメリカでは hit by pitch という〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*4:転倒や打撲の際,皮膚は傷つかないが皮下組織や深部が傷つくこと。うちみ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*5:〔和製語 in+course〕野球で,打者に対して内角寄りを通る球の道筋。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*6:〔和製語 out+course〕野球で,打者に対して外角寄りを通る球の道筋。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*7:【foul ball】野球で,ファウル-ラインの外側にそれた打球。ファウル。邪球。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*8:【flashback】過去の出来事や情景がはっきりと思い出されること。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*9:【心】一定の訓練や経験によって後天的につくられた反射をいい,先天的な反射(無条件反射)に対する語。反射を誘発する刺激(無条件刺激)と同時に,それとは無関係な別の刺激(条件刺激)を繰り返し与えると,その無関係な刺激だけでも反射が誘発されるようになる現象。犬にベルの音と同時に餌(えさ)を繰り返し与えると,ベルの音を聞いただけでも唾液を流すようになるのはこの例。パブロフにより研究,命名された。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*10:大リーグに登録されている選手。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*11:【batting】野球で,打者が投手の投げた球を打つこと。打撃。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*12:〔ルーティーン・ルーティンとも〕きまりきった仕事。日々の作業。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*13:【World Baseball Classic】アメリカの大リーグ機構と選手会が主催する,野球の国別対抗戦。第 1 回大会は,北米・南米・アジア・ヨーロッパなどから 16 の国・地域が参加し,2006 年 3 月に開催され,日本が優勝した。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*14:アメリカのプロ野球で,最上位の連盟。ナショナル-リーグとアメリカン-リーグの二つがある。メジャー-リーグ。ビッグ-リーグ。MLB。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*15:【no-hit】野球で,ヒットを打っていないこと。無安打。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*16:【slump】気力や体調が一時的に衰え気味で,仕事の能率や成績が落ちる状態。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)