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歴代スズキ・ジムニーの最優秀モデル?JA11型をご紹介!

歴代のスズキ・ジムニーがそろうカタログ

フルモデルチェンジされたスズキ・ジムニーがいよいよ発売されそうである。ジムニーは1970年の登場以来、1981年、1998年の2回しか全面刷新されていない希少な車種である。その歴代ジムニーの中でも最優秀モデルとの誉れが高いJA11型に改めて注目してみたい。

2018年2月17日:用字用語の整理。

JA11型に至るまでのジムニー

斜め前方から見た赤色のスズキ・ジムニーSJ30

ジムニーJA11型は1990年から1995年にかけて製造・販売されたモデル*1である。このJA11型は1981年に初めて全面改良された2代目ジムニーの完成形であるといえるだろう。

まずJA11型が最優秀モデルであるといわれるゆえんであるが、不整地の走破性が最も優秀ながら、舗装路での走行性能も悪くはなく、高い次元で均衡が取れていることである。

2代目ジムニーは1981年に登場した。初期はLJ50型539cc 2ストローク*2エンジン*3を搭載し、SJ30型と呼ばれた。2ストロークエンジンは初代ジムニーから引き継がれたもので、28PS*4(グロス*5値)という決して高くない出力だが、2ストローク故にトルクは5・4kgm*6と比較的大きかった。

SJ30型は4MT*7を搭載し、最高速が90km/hほどであった。ぽんぽんと小気味よいエンジン音と、軽い車体全体で跳ねるような走りは楽しいものであった。かたや「加速」とは無縁なほどの、のんびりとした速度の伸びだった。

時代は段々と高速化し、軽自動車とはいえ90km/hでは物足りなくなってきた。そこで、1986年に登場したのが、4ストローク543ccにターボ*8を装着したJA71型ジムニーである。JA71型は42PS(グロス値)へと出力が向上したことで、舗装路での走行性能が飛躍した。このJA71型がJA11型登場の布石である。

SJ30型ジムニーは質実剛健な車体と2ストローク特有のバルブ*9機構やオイルパン*10などがない簡素で丈夫なエンジンが持ち味であった。簡素が故に車両重量も最終型の幌仕様で740kgの軽さであった。

当時JA71は「新世代のジムニー」といえる印象だった。柔らかい足回り、電子制御燃料噴射装置(EPI)で制御される4ストロークターボエンジンであり、登場して間もなくは耐久性への懸念と軽規格のジムニーらしからぬエンジン音に違和感すら覚えた。

1986年ころの軽自動車はボンネットバン型が主流で、ダイハツ・ミラターボTR-XXの登場を機に出力競争が始まっていた。そのような風向きもあり、1987年にはJA71-3型が登場。52PS(ネット*11値)インタークーラー*12付きターボエンジンとなり、ついに2ストロークが消滅した。JA71-3型は出力が大幅に向上したものの、2000回転を超えて急速に出力が上がる、いわゆるドッカンターボであった。

このジムニーJA71-3型にして、本来の不整地をはうような走らせ方からエンジン回転を上げざるを得なかった。つまり、特攻型の走らせ方が必要なじゃじゃ馬であり、乗り手を選んだ。ただし、SJ30においても、不整地での急坂登坂の際は力不足で、ぜんまいを巻くように助走をしっかり付ける必要がったのも事実であった。

歴代最強のJA11型ジムニーの登場

斜め前方から見た青色のスズキ・ジムニーJA11

1990年に安全性向上のため、軽自動車の規格が変更された。このときの変更点は排気量が550ccから660ccに、全幅は従来通り1・4m以下、全長は10cm伸びて3・3m以下に改められた。

余談になるが、いち早く全面改良によって新規格に対応させてきたのはダイハツ・ミラである。スズキ・アルトはバンパー*13を拡大することで新規格に対応し、ジムニーも同様の手法が取られた。

ジムニーは1990年3月に新規格対応の新型JA11を送り出した。JA71-3型からの外観上の変更点は前後バンパーが大型化された上、鉄板の肉厚も増して丈夫になった。バンパーの張出量が増えたことにより、従来フロント*14グリル*15に埋め込まれていたフォッグランプ*16がバンパー上に移設されており、識別は容易である。

JA11は55PS(ネット値)とわずか3PSの出力向上だが、最大トルクがJA71-3型より500回転下がった3500回転で8・7kgmを発生するようになり、非常に乗りやすくなった。変更点は多岐にわたり、中でもデファレンシャルギア*17、ドライブシャフト*18、それを収めるホーシングが1300ccのジムニーと共通化され、大きく堅固になっている。

ファイナルギア比は5・375から5・125に、5速ギア比も0・877から0・831に変更され、高速化に対応した形となった。サスペンション*19は板ばね式であるのに変更はないが、板ばね、ショックアブソーバー*20ともに変更を受け、より柔軟な設定となった。

また、これはJA71-3型以降における変更点だが、駐車ブレーキがそれまでのセンター制動式から一般的な後輪制動式になっている。センター制動式はプロペラシャフト*21をブレーキシュー*22で挟む方式である。利き目に問題はないが、ブレーキレバーを引いておいても、デファレンシャルギアのバックラッシュ*23のため、車体を押すとがくがくと若干前後に動く。後輪制動式になったことで、サイドターンの小技が使えるようになったのが、何よりの利点である。

JA11型ジムニーの走り

悪路を走行するスズキ・ジムニーJA11

550cc時代の軽自動車は先述した出力競争により、アルト・ワークスで軽自動車ながら64PSの出力を達成。一部小さな車体には危険過ぎる出力という意見も出ていた。660cc化は全長を伸ばすことによって居住性と安全性の向上を図るとともに、エンジン出力は64PSで自主規制が引かれ、110ccの余裕は扱いやすさに各社主眼を置いた。その背景の下に登場したJA11型ジムニーはクロスカントリー*24車として、より理想的な変更だったといえるだろう。

1990年ころのジムニーより大きな三菱・パジェロ、トヨタ・ランドクルーザーなどは見た目の格好良さだけを狙ったような大型化が著しかった。215mm幅のタイヤが主流だったが、265mm前後のタイヤをこぞって履かせた。それにより「なんとなく強そう」な外観にはなったものの、本領であるべき不整地の走破性は明らかに退化の一途をたどった。そのさなかに「軽自動車」の制約を受けるジムニーは孤軍奮闘する形でオフロードカー*25車の神髄を貫徹した車種である。

JA11型ジムニーまでは全車5MTのみの設定である。1速、2速はかなり低いギア比となっている。そのため、信号からの発進して交差点を渡りきるころには既に3速が入っている特殊なものである。

2速発進を多用する方もいるようだが、それだと半クラッチの時間が長い。やはり感覚的には1速から発進した方がしっくりいく。1速からの発進であれば、アクセル*26を吹かさずに割と大ざっぱにクラッチ*27をつないでもエンストはしない。最高速はメーター読みで120km/hまで向上したが、その速度では5速レッドゾーン*286500回転ぎりぎりとなり、車内はさすがに騒々しい。

55PSの出力は必要十分で、低いギア比が手伝って、2ストロークのころとは比較にならない力強い加速を見せてくれる。パワステ*29のないボールナット式のステアリング*30はギア比が大きく操舵(そうだ)が多少忙しいが、操っていて楽しさを感じさせてくれる1台である。

不整地においては歴代ジムニーではそれまで1000ccエンジンを搭載したSJ40型が最強との通説であったが、JA11は軽自動車規格にして、それをしのいでいる。ジムニーは特筆するような長いサスペンションストロークを持っていないが、車体の軽さと総合力の高さで、他車を圧倒する実力者であることは間違いない。

まとめ

海岸線に止まる青色のスズキ・ジムニーJA11

JA11型ジムニーはその後5型まで発展し、出力も自主規制枠いっぱいの64PSまで向上した。後に登場した三菱・パジェロミニに対抗すべく、電動パワステ装着車や3ATも用意され、「乗用車化」が進んだ。JA11型ジムニーの2型以降は触媒も装着されてエンジンの回転が鈍化したので、1型が最強と称する向きも多かった。

1995年になって、歴代で初めてコイル*31スプリング*32式車軸サスペンションが採用された。これを機に5ナンバー登録となるJA22型が主軸に置かれたが、ギア比を過剰に高速化しており、不整地では大幅に走破性が落ちている。4ナンバー登録のJA12においても、新型サスペンションのできが芳しくなく、本来の輝きを失ってしまった。

1998年に再び軽自動車規格が新たになり、現行型であるJB23型ジムニーが登場している。1993年にスズキ・ワゴンRが登場して以降、軽自動車の主流はハイト系に推移している昨今に至っても、ジムニーを造り続けていることに感謝したい。

そして、世間口では「既に生産に入っている」新型ジムニーであるが、こちらもはしご型フレームに車軸式サスペンション、さらにパートタイム4WDの方式も受け継いでくれるそうだ。

車側で勝手に制御する手合いが氾濫しているが、この新型ジムニーの基本構成を聞くと安堵(あんど)のため息が出る。ビルトインフレームではなく、独立したはしご型フレームが「みそ」で、これによって車体がどんなにへこんでも支障が出にくい頑強な車となる。世界中で新型ジムニーが「頼もしい車」として活躍することを期待したい。

時として自動車が人間に干渉し過ぎないことも立派な心配りの一つではないだろうか。

(出典:スズキ株式会社

*1:【model】自動車や機械などの型式(かたしき)。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*2:【stroke】往復機関で,シリンダー内をピストンが一端から他端まで動く距離。ストローク。衝程。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:種々のエネルギーを機械的力または運動に変換する機械または装置。機関。発動機。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*4:【ドイツ Pferdestärke】馬力を表す記号。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*5:【gross】〔グロースとも〕正味(ネット,net)ではなく,総計ないし総額のこと。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*6:【フランス kilogrammètre】エネルギーまたはトルクの重力単位キログラムメートルを表す記号。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*7:【manual transmission】自動車の手動変速機。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*8:【turbo】排ガスを利用してタービンを回し,混合気を強制的にシリンダー内に送り込んで圧力を高める,エンジンの補助装置。出力・トルクを高め,併せて燃費向上に役立つ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*9:【valve】弁。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*10:【oil pan】自動車のエンジン本体の下部にある潤滑油をためる容器。

*11:【net】余分な部分を除いた,実際に意味のある部分。経費などを差し引いた純益,風袋(ふうたい)を差し引いた正味の重量など。正味(しようみ)。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*12:【intercooler】中間冷却器。流体を加熱する過程で冷却する装置。特に,気体の連続圧縮過程の冷却装置。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*13:【bumper】急激な機械的衝撃を緩和するための装置。ゴム・ばね・空気・油などの弾性を利用して,衝撃の運動エネルギーを吸収する。車両・銃砲など各種機械装置に組み込まれる。自動車のバンパーもこの一種。緩衝器。ダンパー。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*14:【front】正面。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*15:【grille】自動車の前部につける飾り格子。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*16:【fog lamp】〔フォグ-ランプとも〕霧の中でも透過する可視光線を得るために,自動車・船舶などに取り付ける淡黄色光のランプ。霧灯。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*17:【differential gear】二つ以上の運動の差または和を一つの運動にして出力する歯車装置。遊星歯車装置などを応用する。自動車ではカーブを曲がるとき,左右の駆動輪の回転数とトルクの差を吸収してスムーズに走るために用いる。デフ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*18:【shaft】動力を伝達するための回転軸。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*19:【suspension】自動車などで,車輪と車体をつなぎ,路面からの衝撃や振動が車室に伝わるのを防ぐ装置。懸架装置。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*20:【shock absorber】自動車や火砲などの機械的・電気的な衝撃を緩和する装置。衝撃吸収器。緩衝器。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*21:【propeller shaft】自動車の車体前部にあるエンジンから,動力を後ろの駆動輪に伝えるための軸。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*22:【brake shoe】ブレーキ-ドラムなどに圧接して,制動をかける部品。ブレーキ片。制動片。制動子。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*23:【backlash】〔逆回転,反動の意〕歯車がかみ合うときのすき間。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*24:【cross-country】野原・丘・森などを横断して走る長距離競走。断郊競走。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*25:【off-road】舗装されていない道。また,公道でない脇道。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*26:〔アクセレレーター(accelerator)の略〕加速器。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*27:原動軸と従動軸との間で,動力の伝達を断続する装置。連動器。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*28:【red zone】エンジンの回転限界を示す領域。回転計のその領域を赤く塗ることからいう。

*29:自動車で,エンジンで駆動されるオイル-ポンプの油圧や電動モーターを利用してハンドル操作にかかる力を軽減する装置。ハンドル操作が軽くなる。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*30:〔ステアリング-システムの略〕自動車の方向変換装置。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*31:【coil】線を円形または円筒形に巻いたもの。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*32:【spring】ばね。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)