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FIAT 500X(エックス)とFIAT 500の違いとは?

斜め前方から見た黄色のFIAT 500X

FIATジャパンが取り扱う車種の中に、FIAT 500と似通った表情のFIAT 500Xがある。「アウトドアも楽しめるコンパクトSUV」とうたい文句が沿えられている。しかし、FIAT 500とは似て非なる車種と言い切れる。FIAT 500Xとは果たして何者なのかに迫ってみたい。

2017年10月24日:用字用語の整理。

FIAT 500ファミリーの誕生

側方から見た赤色のFIAT 500X

現行のFIAT 500は、先代のNUOVA(ヌォーヴァ)500登場から50周年を記念して売り出された車種である。FIAT 500とキャンバストップ*1のFIAT 500Cが先行して2007年にイタリアで発表された。

見事に復刻したFIAT 500は、日本を含めた世界各国で人気となった。数値的に見ると、イタリア、フランス、ドイツ、スペインなどを含む欧州28カ国合計で、年間18万台を超える売り上げを記録している。

成功を収めたFIAT 500は、派生車種も続々と登場させてくる。2012年にFIAT 500LというFIAT 500を長く広く4枚ドアにした車種が発売された。さらに翌年、FIAT 500Lを20cmほど伸長して7人乗りにしたFIAT 500Lリビングも追加された。ステーションワゴンに生まれ変わったFIAT 500と言えるだろう。

そして、直近でFIAT 500ファミリーに加入したのが、2014年に登場のFIAT 500Xである。このFIAT 500Xは、人気の多目的車SUV*2の外観を備えてきた。

以上の中から日本国内向けにはFIAT 500、FIAT 500C、FIAT 500Xがラインアップ*3されている。ただし、FIAT 500Lなどを日本国内へ輸入している業者も存在するので、入手は可能である。

FIAT 500とFIAT 500C、FIAT 500Xの関係性

横向きの茶色のFIAT 500X

FIAT 500とFIAT 500C、FIAT 500Xは類似した見た目だが、似ても似つかぬ車であると冒頭で述べた。こちらについて、もう少し詳しく解説しよう。

車を構成する重要な要素は、第一にシャシー*4もしくはプラットフォーム*5で決まる。プラットフォームとは、客室の床の部分と、サスペンション*6やエンジンを支える骨格のことである。

最近の車はグローバリゼーション*7により、多車種開発を低予算で実現できる「プラットフォームの共用化」が欠かせないものとなっている。例えばトヨタのソアラとスープラも同じ骨格だったりするように、昔から存在していた。これが現在では、一つの骨格からもっと多くの車種を展開するようになっているのである。

FIAT 500を骨格で判別すると、まずFIAT 500とFIAT 500Cには「FIATミニ・プラットフォーム」が使用されている。対してFIAT 500Xには「GM FIATスモール・プラットフォーム」が用いられている。つまり、FIAT 500とFIAT 500Cは同一で、FIAT 500Xは全く「別物」になるのだ。

FIAT 500とFIAT 500Cの「FIATミニ・プラットフォーム」は、FIAT Panda(パンダ)、フォードKaにも併用されている。FIAT 500Xの「GM FIATスモール・プラットフォーム」は、その名の通り米国GMとの共同開発で、同社のJeep(ジープ)・Renegade(レネゲード)にも使用されている。FIAT 500Xの姉妹車は、FIAT 500とFIAT 500Cではなく、実はレネゲードの方なのだ。

諸元に見るFIAT 500Xとジープ・レネゲードの共通点

悪路を走るJeepのRenegade

ここで、FIAT 500Xとジープ・レネゲードの構成を比較してみよう。

  FIAT 500X レネゲード
全長 × 全幅 × 全高 全長4,250 × 全幅1,795 × 全高1,610mm 全長4,255 × 全幅1,805 × 全高1,695mm
ホイールベース 2,570mm

車体寸法に関してはFIAT 500Xが全長4250 × 全幅1795 × 全高1610mmで、レネゲードは全長4255 × 全幅1805 × 全高1695mmと近似している。同じ骨格であることが明瞭なのは、ホイールベースが共に2570mmであることだ。

両者ともに、前輪駆動と4WD*8が設定されている。前輪駆動はどちらも1368ccの直列4気筒マルチエア16バルブ*9インタークーラー*10付きターボ*11エンジンが搭載されている。4WDモデルはFIAT 500Xとレネゲードでは異なるエンジンを搭載しているものの、トランスミッションギア*12はギア比・最終減速比を含めて同等である。

このように、FIAT 500Xとレネゲードは、大部分で類同した兄弟なのである。FIAT 500とFIAT 500Cを比較すると、二回りほども大きな車格となり、サスペンション形式も四輪独立のストラット式となる。そのため、走らせた感覚もFIAT 500とFIAT 500Cは軽快で、FIAT 500Xとレネゲードは中型クラスの安定性重視の重ためな走行性能となっている。

まとめ

黄色のFIAT 500Xの天井

FIAT 500Xは言わずもがな、4WDモデルにその真価を感じる。小型SUVには贅沢なほどの9速オートマチック*13が搭載されている。これを前輪駆動モデルよりもターボの過給圧が高められた、170PS*14の1・4Lインタークーラー付きエンジンで駆動する。

4WD車の車重を見ると、レネゲードが1835kgであるのに対し、FIAT 500Xは400kg近くも軽量な1460kgとなっている。レネゲードの4WDは2・4L自然吸気エンジンを搭載している違いはある。だが、FIAT 500Xのこの車重で170PSなら、かなり力強く走ってくれるはずだ。

FIAT 500とFIAT 500Cの小型車としての簡潔な魅力と面白さに対し、FIAT 500Xはもはや中型車だ。FIAT 500にそっくりな顔付きが与えられてはいるが、諸元から読み取ったFIAT 500Xの性能は、外見の印象と懸け隔てると言わざるを得ない。安全性や雪国での走行や5人乗車ができる点では、FIAT 500Xに軍配が上がりそうだ。

日本限定でFIAT 500Nを発売してもらいたい。Nはチンクエチェントにぴったりな機敏に動ける「忍者」のことだ。

(出典:Fiat Chrysler Automobiles

*1:〔和製語 canvas+top〕屋根がキャンバス地で張られ,折り畳みや取りはずしが可能な自動車。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*2:【sport utility vehicle】スポーツタイプ多目的車の総称。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:【lineup】〔ラインナップとも〕陣容。顔ぶれ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*4:【chassis】〔シャーシ・シャシーとも〕自動車・電車などの車台。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*5:【platform】〔立つための台の意〕自動車生産で,異なった車種の間で共通に用いる車台。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*6:【suspension】自動車などで,車輪と車体をつなぎ,路面からの衝撃や振動が車室に伝わるのを防ぐ装置。懸架装置。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*7:【globalization】世界的規模に広がること。政治・経済・文化などの諸領域の仕組みや制度が,国を越えて地球規模で拡大することをいう。グローバル化。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*8:〔four-wheel drive〕自動車で,前後の四つの車輪すべてに駆動力を伝える方式。4WD 。四駆。全輪駆動。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*9:【valve】弁。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*10:【intercooler】中間冷却器。流体を加熱する過程で冷却する装置。特に,気体の連続圧縮過程の冷却装置。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*11:【turbo】排ガスを利用してタービンを回し,混合気を強制的にシリンダー内に送り込んで圧力を高める,エンジンの補助装置。出力・トルクを高め,併せて燃費向上に役立つ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*12:【transmission gear】自動車などの歯車式変速装置。トランスミッション。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*13:【automatic】オートマチック-トランスミッションの略。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*14:【ドイツ Pferdestärke】馬力を表す記号。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)