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FIAT Panda(パンダ)の4WD車が2年ぶりに限定車として復活

斜め前方から見た深緑色の英国版FIAT Panda 4×4

FIAT Pandaは2011年に現行型の3代目が登場した。日本向けには0・9Lツインエア+デュアロジック+FFの「Easy」が通常販売されている。Pandaは4WDが代名詞となっていたが、久々に限定車「Panda 4×4」が発売された。このPanda 4×4について改めてご紹介したい。

2017年12月4日:用字用語の整理。

FIAT Panda 4×4の概要

側面から見た銀色の初代FIAT Panda

現行で3代目となっているPandaは2011年にフランクフルト*1モーターショー*2で発表された。日本国内への正規車両導入は2年ほど後となる2013年5月から始まっている。以降、4×4モデル*3も限定車などで導入されてきた。今回発表された限定車「Panda 4×4」は、2015年12月に発売された限定車「Panda 4×4 Terra(テラ)」以来、約2年ぶりの復活となる。

今回の「Panda 4×4」は限定車扱いで全国限定100台、発売日は2017年11月18日である。価格は消費税込み251万6400円で、通常販売されているFF*4の「Panda Easy(イージー)」同213万8400円と比べて37万8000円の価格差である。

通常販売されている「Panda Easy」は0・9Lツインエア+5速デュアロジック+FFだ。一方、「Panda 4×4」は0・9Lツインエア+6速マニュアル+4WD*5という「大項目」としての違いがある。

Panda 4×4は1980年代の初代から設定されていた代名詞となるモデルでもある。初代Pandaは現行型と比較にならないほど簡素な作りだった。4×4でもそれを誇示する装飾は一切なかったが、車高が高くなっていることと、後部車体下からのぞくリア*6デフ*7で、小さいながらも頼もしい印象を持たせるものであった。

FIAT Panda 4×4の詳細

FIAT Panda 4×4のダッシュボード

2017年11月18日発売の限定車「Panda 4×4」について、もう少し掘り下げていこう。これまでの記事でもお伝えしてきたが、PandaとFIAT(フィアット)500(チンクエチェント)は姉妹車となっている。

90年代末に開発されたFIATのグローバル*8プラットフォーム*9である「FIAT ミニ・プラットフォーム」が2003年登場の2代目Pandaを皮切りに採用された。そして、2007年登場のFIAT 500と2011年登場の3代目Pandaにも踏襲された。

「FIAT ミニ・プラットフォーム」は4WD仕様にも対応しており、これがPanda 4×4に使用されている。裏返せばFIAT 500も4WD仕様にできることになる。しかし、それは行なわれず、FIAT 500にはJeep(ジープ)Renegade (レネゲード)とシャシー*10を共有するFIAT 500X(エックス)を別途設定している。

Panda 4×4に搭載されるエンジンは最高出力63kW*11(85PS*12)/5500rpm*13、最大トルク 145Nm(14・8kgm*14)/1900rpmの数値を見比べる限り、Panda EasyやFIAT 500ツインエアと同じものである。

トランスミッションギア*15も1~5速が変速比を含めて同じだが、Panda 4×4には変速比の小さな6速ギアが付加されたものとなっている。ただし、最終減速比でもあるデフギアの変速比はPanda 4×4では低速寄りに振られている。そのため、Panda Easyと比べて同速度でもPanda 4×4の方がエンジン回転数は高めになる。

4×4とデュアロジックの組み合わせを待望する声もきっと多いのだろうが、Panda 4×4では実現されておらず、4×4には6速マニュアル*16のみが組み合わされる。この仕様は初代Panda 4×4の武骨さ・心強さをしっかり継承している印象を受け、個人的には好ましく思う。

FIAT Panda 4×4の4WDシステム

英国版FIAT Panda 4×4の内装

四輪駆動は英語表記だと4×4(フォーバイフォー)、4WD(フォーダブルディー)、AWD(エーダブルディー)など様々な表現をされるが、全て同じものを指すことを始めに断っておきたい。

Panda 4×4は常時四輪駆動方式のフルタイム*174WDを採用している。フルタイム4WDの場合、各輪の回転差を吸収するために、フロント*18デフ、リアデフ、センターデフの三つのディファレンシャルギアが必要である。Panda 4×4のセンターデフには油圧式多板クラッチが用いられている。このセンターデフをロック*19するELD(エレクトロニック*20・ロッキング・ディファレンシャル*21)を備える。

フルタイム4WDはセンターデフロックを備えないと、構造上1輪が滑り始めた場合、全出力がその滑っている1輪へ逃げて行ってしまうようになっている。例えば雪道で後1輪が滑っても、センターデフをロックすれば、前2輪に駆動力が伝わり脱出することができる。Panda 4×4のELDは任意のスイッチ式なので、雪道、悪路、雨天の高速道路走行時などでロックしておくと効果的である。

Panda 4×4の4WDシステム*22は、ELDを含めて特別に秀でた性能を持つものではないが、SUV*23のように日常使用と野外などで活躍してくれるはずだ。

まとめ

後方から見た深緑色の英国版FIAT Panda 4×4

Panda 4×4は初代の血を受け継ぐ硬派さを今も持ち合わせていると思える。最終減速比を下げ、わざわざ1段付け足した6速ミッションを採用しているのもその表れである。この仕様より、4WDとしての走破性を多少高めつつ、FFと同等の高速性能も保つことを両立している。

今回発売される限定車Panda 4×4は専用車体色のタスカン・グリーンもなかなか精悍(せいかん)であり、通常販売車のPanda Easyとは一線を画する頼もしさを醸し出している。

Panda 4×4の車両重量は、FFのPanda Easyと比べて60kg増しとなる1130kgである。少々重くなっているものの、0・9Lツインエアエンジンとの組み合わせは過去にも登場した実績があり、その不足ない動力性能はすでに定評を得ている。

個人使用が多いであろうFIAT 500に対し、Pandaなら5ドアでもあるため、家族向けにも使用できる。それに加え、Panda 4×4なら確実に行動範囲も広げてくれるはずだ。0・9Lツインエア+4WDは、このPanda 4×4でしか味わうことができず、そこに独自性を感じる車種である。

いい意味でごつごつと骨張った「Panda 4×4」と旧ザクことザクIの素朴な魅力がどこかダブってしまったのは私だけだろうか。

(出典:Fiat Chrysler Automobiles

*1:【Frankfurt am Main】ドイツ西部,ライン川支流のマイン川下流にある都市。水陸交通の要地を占め,ドイツ金融の中心地として繁栄。化学・電機などの工業も盛ん。ゲーテの生誕地。フランクフルト-アム-マイン。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*2:【motor show】メーカー各社の新型自動車などを集めて催す展示会。自動車ショー。オート-ショー。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:【model】自動車や機械などの型式(かたしき)。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*4:【和製語】 front-engine, front-drive】自動車のエンジンの動力が,後輪にではなく前輪に伝わる方式。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*5:【four-wheel drive】自動車で,前後の四つの車輪すべてに駆動力を伝える方式。四駆。全輪駆動。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*6:【rear】他の外来語の上に付いて,「後ろの」の意を表す。リヤ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*7:〔ディファレンシャル-ギア(differential gear)の略〕二つ以上の運動の差または和を一つの運動にして出力する歯車装置。遊星歯車装置などを応用する。自動車ではカーブを曲がるとき,左右の駆動輪の回転数とトルクの差を吸収してスムーズに走るために用いる。ディファレンシャル-ギア。差動歯車装置。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*8:【global】世界的な規模であるさま。国境を越えて,地球全体にかかわるさま。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*9:【platform】〔立つための台の意〕自動車生産で,異なった車種の間で共通に用いる車台。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*10:【chassis】〔シャーシ・シャシーとも〕自動車・電車などの車台。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*11:【kilowatt】仕事率・電力の単位キロワットを表す記号。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*12:【ドイツ Pferdestärke】馬力を表す記号。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*13:【revolutions per minute】エンジンやタービンなどの毎分回転数。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*14:【フランス kilogrammètre】エネルギーまたはトルクの重力単位キログラムメートルを表す記号。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*15:【transmission gear】自動車などの歯車式変速装置。トランスミッション。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*16:【manual】自動車で,変速装置が手動のもの。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*17:【full time】所定の時間すべて。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*18:【front】正面。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*19:【lock】停止したまま動かなくなること。また,動かなくすること。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*20:【electronic】電子工学を応用した,の意。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*21:【differential】差。格差。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*22:【system】全体を統一する仕組み。また,その方式や制度。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*23:【sport utility vehicle】スポーツタイプ多目的車の総称。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)