人生は旅だ

よもやま話に花が咲く

ドラクエが好きだ!愛され続ける五つの理由とは?

すぎやま氏・鳥山氏・堀井氏

ドラゴンクエストは今や国民的RPGと称されるまでになった。万人を魅了して止まない傑作だ。栄枯盛衰は世の常だが、ここまで絶え間無く愛され続けているのは、まれである。今回はその理由について、一ドラクエファンとして考察していきたい。

2017年10月24日:用字用語の整理。

会話に人間味がある

ドラゴンクエスト11に登場する不機嫌なベロニカ

他のロープレ*1では町の人物のせりふにも、味気なさを感じてしまうことが多い。

ところが、ドラクエはどうだろう。せりふが表示される際に「プルル」と流れる効果音が付いている。そして、町の人物によって音の高低やせりふの遅速に差異があり、無意識に人物を判別しやすくなっている。これが思いの外、「個性」を醸し出すのに一役果たしている。加えて、堀井雄二氏の巧妙な文章と合体することで、さらなる「温かみ」を生み出すことに成功している。

狙い澄ました演出か否かは不明だが、ゲーム容量が極微の「1」から導入されている。そして、この手法は「11~過ぎ去りし時を求めて」に至るまで受け継がれているのだ。このことが何より「効力」の実証になっているはずだ。

初心者への配慮

初心者マーク

必須の機能を冒険中に学習できるようになっている。しかも、実際に順を追って操作させることで、実感が湧くように工夫されているのだ。だから、説明書を読んでやり方を暗記することなく、ゲームに没頭することができる。

1では開始直後の部屋において、扉の開け方と階段の下り方を会得しなければ、先に進めないように仕組まれていた。こうやって「分かりやすさ」を重視する姿勢が随所に見られる。

これからも「やる人間の身になって作る」を貫徹している堀井氏によって、堅固に維持されていくだろう。

女性にも取っ付きやすい

SNSや催しの映像からも女性のドラクエファンが増加の一途をたどっていると推し量れる。スマートフォン*2が普及する以前は、女性ゲーマー*3が好奇のまなざしにさらされることが多かった。しかし、時代が推移し、スマホを媒体にゲームができるようになり、ゲーム人口の男女比が次第に拮抗(きっこう)してきたのだ。

ゲームを始める動機付けとして、男性には「対戦」や「破壊」を、女性には「目的達成」や「幻想」が上位に支持されている。また、日本人女性におけるiPhoneの市場占有率の高さからも「単純な操作」や「デザイン重視」に好感を抱かれていることが分かる。

ドラクエはこれらの要素を網羅していることから、必然的に流入数は増加傾向にあるはずだ。グッズ販売においても女性を意識したものが漸増しており、欠かすことができない市場として、さらなる開拓の余地がありそうだ。

音楽が素晴らしい

楽譜

すぎやまこういち氏いわく「聴き減りのしない音楽」を目指されているようだ。そのため、初めて聴いたときには、ヒット曲と比べてパンチ*4に欠けるかもしれない。

ドラクエを遊び続けていると、幾度となく同じ音楽を耳にすることになる。だから、いきなり強い印象を与える音楽だと、飽きがくるのが早くなり、ストーリーを引き立てるどころか邪魔をしてしまうはずだ。前面に出かねないポップス*5ではなく、あえて脇役に徹するクラシック音楽を選択したのも玄人のなせる業だ。

そして、何といっても「音楽がいい」。これ以上の説明はいらないだろう。いつのまにか耳に残り、鼻歌交じりで出掛けたりすることがあるかもしれない。そして、過去に遊んだドラクエの情景を呼び戻してくれることもあるのだ。

ちなみに、睡魔という魔物に打ち勝ちたいときは、「4~導かれし者たち」の戦闘曲である「栄光への戦い」で、士気を鼓舞するのがお勧めだ。

愛着が湧くモンスター

ドラゴンクエストのスライム

ドラクエ名うての怪物といえばスライムだろう。堀井氏の「ただの水たまり」のようなラフスケッチ*6から、全く形状の異なるあの愛らしいスライムが誕生したことは、ドラクエファンの間で語り草になっている。ちなみに、以下が堀井氏から鳥山氏に提出されたスライムの概要である。いかに鳥山氏が創造的であるか、即座に見て取れるはずだ。

不定形
ゼリー状のドロドロしたモンスター
人の顔などにはりついてちっそく死させる

この他にもドラキー、ゴーレム、モーモンなど、愛嬌(あいきょう)のあるモンスターを挙げだしたら切りがないほどだ。その秘密は、どうやら鳥山氏の描き出すモンスターにありそうだ。

目線はプレーヤーに向いている

まず、モンスターの目線に注目したい。かつて鳥山氏の編集も務めた、名編集者として名高い鳥嶋和彦氏によると、鳥山氏のデザインしたモンスターはいずれも「目が合う」そうだ。これにより敵とにらみ合う状態になり、切迫の度を高められる。それと同時に、じっと見られると好意を感じる心理学から、潜在的に親近感も芽生えているのかもしれない。

魔物の怖さを見た目だけに頼らない

りゅうおうやゾーマも例外ではない。通例であれば畏怖の象徴であるはずのラストボス*7にもかかわらず、やはり憎みきれない体裁をしているのだ。魔王たる存在をデザインから得られる恐怖のみに依存せず、物語における幾重にも重なる悪行などが加味されて、初めて形作られる「怖さ」なのだ。それ故、現実みがあり、感情移入がしやすいのではないだろうか。

男前の連続殺人犯や美人のテロリストも同系だろう。これまでの行動に裏打ちされた、外観からは計り知れない「事実」が内在することに「怖さ」を感じるからだ。

呪文の語感が良い

爆発の呪文

ドラクエには覚えやすい呪文が多くないだろうか。

ぎらぎら輝く「ギラ」、めらめらと燃える「メラ」などのように擬声語の一部から命名される事例がある。

また、魔法をカウンター*8「マホカンタ」、目玉がパニック*9「メダパニ」のように、日本語と英語の一部からの複合語だってある。

さらには、目が点になる「メガンテ」、模写する「モシャス」のように日本語の一部のみもあり、種々さまざまだ。

どれも直観的に連想しやすく、ゲームでまん延している英語のみの呪文と比べて、形式張っていないところがドラクエ独自の「柔らかさ」を醸し出している。統一性があるようでない点も、ドラクエの自由度の高さと連結されて面白い。

ファミコンで発売された1は、画像1枚分にも満たない64KB*10だった。容量を節約するために、限られた文字のみを使用し、登場人物や呪文やモンスターなど幾多の「語呂のいい名前」を誕生させた。本来は「ダークドラゴン」にしたかったが、止むを得ず「ダースドラゴン」にした逸話も有名だ。当時は堀井氏を泣かせたはずの「ダースドラゴン」だが、今では思い出深い宝物の一つになっているに違いない。

まとめ

これらの徹底したこだわりがドラクエの根幹となり、長期に渡って支持される作品になったのではないだろうか。

また、堀井氏・鳥山氏・すぎやま氏が三位一体となり、ゲームの地位がまだ確立されていなかった時代に、本気で取り組んだことは意義深い。

その「導かれし者たち」の踏み出した一歩が、冒険の幕開けとなったはずだ。

(出典:株式会社スクウェア・エニックス

*1:ロール-プレーイング,またはロール-プレーイング-ゲームの略。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*2:【smartphone】パソコンに準じる機能をもつ携帯電話端末。通話機能のほか,メールやブラウザーなどのネット機能,住所録や日程管理などの情報管理機能などをもつ。多くの場合,高度なカスタマイズが可能。スマートホン。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:【gamer】ゲームをする人。またはゲームで遊ぶことを趣味にする人。主にビデオ-ゲームの分野でいう。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*4:【punch】人を圧倒したり,刺激したりするような力強さ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*5:【pops】ポピュラー-ソング。ポピュラー-ミュージック。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*6:【rough sketch】大まかな下書き。概略図。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*7:〔和製語 last+boss〕コンピューター-ゲームで,最後の関門として登場する敵キャラクター。ラスボス。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*8:【counter】〔逆の,反対の,の意〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*9:【panic】強い恐怖・不安・驚きなどにより陥る混乱状態。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*10:【kilobyte】コンピューターの情報量の単位キロバイトを表す記号。1 キロバイトは 1024(=210)バイト。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)