人生は旅だ

よもやま話に花が咲く

自動車の今昔物語!そして、これからの未来を語ってみる

スバルグローバルプラットフォーム

「グローバルプラットホーム」という言葉がよく聞かれるようになった。現在の自動車市場は生き残りを賭けて戦国時代さながらの状況にある。80年代、90年代までに各国産自動車メーカーが培ってきた特色を振り返りつつ、国産乗用車の未来を見つめてみたい。

自動車市場の今

斜め前方から見た銀色のVolvo Concept 40.1

世界的に見て、これまでの乗用車は先進国を相手に開発・販売されてきた。しかし、ここへ来て各先進国が頭打ちとなり、中国*1・インド*2・東南アジア諸国連合(ASEAN)*3・南米などの経済的台頭が著しい。あと数年のうちに自動車市場の過半数が、これら新興国に移っていくと予想されている。

先進国相手であれば、多少自動車の価格が高くなったとしても、差別化をした個々の車種を開発していくだけの余裕があった。しかし、新興国相手になると、各国現地の「価格」に対する要求も相当に強い。だから、それぞれの嗜好(しこう)に合致した安くて丈夫な車でないと売れ行きに直撃してしまう。

別途環境問題の深刻化により、Volvoがエンジンを搭載した車の製造を2019年に中止、「今主流の自動車の終焉(しゅうえん)を意味する」と発言して大きな話題となった。政治的背景が絡み、2040年までにフランス*4、英国*5政府はエンジン搭載車の販売を禁止すると発表した。ドイツ*6・インド・中国もこれに追随する。今後日本もこの本流に傾倒していくのは必至であろう。

つまり、長期的には化石燃料からEV*7に移行する。そして、ここ10年の目算は新興国向けの車造りで生き残ることが自動車市場の今といえる。

グローバル*8プラットホーム*9の話に戻ろう。プラットホームとは床部分・サスペンション*10・ステアリング*11系統・エンジン*12・トランスミッション*13までを含む主要構成部品の総称である。トヨタ・マークⅡ、クレスタ、チェイサー三兄弟の水準ではなく、ハッチバック*14からミニバン*15やスポーツタイプ多目的車(SUV)も全部同じ土台から仕上げてしまう試みである。

車の構成部品を前部・床部分・後部などの構成に分けて、レゴブロックのような組み合わせにする。これにより共通部材が増えて安価を実現できる。また、国々の消費者の要求にぴったり合った組み合わせで、いろいろな車種まで生み出せてしまう。無論エンジンやトランスミッションもレゴブロックの一つになるわけだ。

国産自動車メーカーの特色を振り返る

斜め前方から見た銀色のいすゞ・ピアッツァ

スタジオジブリの映画「風立ちぬ」をご覧になっただろうか。主人公はドイツを視察して先進技術を目の当たりにした。「日本は20年遅れている」と触発され、わずか数年で世界に通用する飛行機を作り上げたという逸話である。国産乗用車においても同じような過程で発展していった。

1952年代には欧州の車種をライセンス生産*16していた国産乗用車だったが、1980年代には米国に恐れられるほどの品質の高い自動車を生産するようになっていたのである。懐旧の情は抜きにして1980年代は国産車が最も面白かった。この時期の各国産自動車メーカーの特色を独断的に述べてみたい。

トヨタ自動車

トヨタは特筆するまでもなく日本を代表する自動車メーカーである。丈夫で質実剛健な車造りだ。平社員はカローラ、課長はマークII、部長がクラウンなどの暗黙の序列社会現象すらも与えた。誰もが認める名車はTE71カローラのプラットホームを基に、名機のエンジン4A-Gを載せた1983年登場のAE86レビン・トレノであろう。

日産自動車

日産は特に80年代後半の勢いが印象的だ。「アートフォース」S13シルビア、「アテーサ4WD」R32スカイラインGT-R、そしてシーマ旋風を巻き起こした。地味ではあるが、1987年登場の2代目「三段腹」サファリも大変優れたシャーシー*17を持っていた。これらのことから日産は足回りに優れている印象である。

本田技研工業

ホンダはトヨタ・4AG-Eに対抗心むき出しのVTECエンジンを登場させ、F1*18での活躍など、本田宗一郎氏の心意気を感じさせる硬派な趣が見える。一方、運転席にいながら助手席を倒すことができるプレリュードなど、妙な色気を随所に感じさせる車も造っていた。

三菱自動車工業

三菱は1982年登場の初代パジェロが支持され、RV*19の爆発的な流行をつくった。パリダカことパリダカールラリー*20やWRC*21にも積極的に参戦した。そして、1987年には6代目ギャランVR-4も発売され、後のランサーエボリューションへの布石ともなった。

マツダ

マツダは2ローター*22・ターボ*23エンジンのFC3S型RX-7が代表的だが、1989年にはユーノス販売網名義でロードスターも発売、ハンドル操作の良い車を世に送り出した。

いすゞ自動車

いすゞもまだ乗用車を作っていた。その中で名車と称されたのがピアッツァである。後期に加わった「ピアッツァ・イルムシャー」は2・0Lターボエンジンで、走りも優れた車だった。他にもアスカやジェミニやビッグホーンなど、全車種に走りを意識したグレード*24が設定されていた。

SUBARU

スバルはレオーネ時代には得意の4WD*25に副変速機を加えた「生活四駆」「玄人的」な車造りをしていたが、1989年登場のレガシィ・ツーリングワゴンで一気にあか抜けた感がある。レガシィRSなどが搭載していた2・0L水平対向ターボEJ20型エンジンは今も最新型のWRX STIに現役で搭載されている。

スズキとダイハツ工業

スズキとダイハツは軽自動車で首位を争い続けた。アルトとミラは1980年代後半には馬力競争に入り、とても軽自動車とは思えない俊敏さを見せつけた。ことに操る楽しさはスズキの方が一歩上手であった。

「運転手」が死語になりそうな近未来

トヨタIMVプロジェクト

最初の項目で述べたグローバルプラットホームはトヨタ・日産・ホンダ・スバル・Volkswagen(フォルクスワーゲン)など、現在多くの自動車会社がこの展開をしている。

最近では新型のスバル・インプレッサは「スバルグローバルプラットフォーム」を初採用して登場。13年ぶりに復活したトヨタ・ハイラックスも、まさに新興国向けの車両である。1種のプラットホームから3種類のボディー*26タイプ*27を開発し、5車種展開されるトヨタIMVプロジェクト*28の1車種が新型ハイラックスだ。

現在自動車産業は一つの成熟期を超えようとしている。それは一方で、これからの新型車はレゴブロックの組み合わせによるところが大きいので、突出した魅力を持つ車が出にくくなることを意味する。つまり、「良し悪し」が表裏一体をなしてしまっているのだ。消費者の大部分がグローバルプラットホームを過信しているかのように見受けられる。しかし、「消費者」と「生産性」のどちらかに大きくてんびんが傾いていないかをしっかりと見極める必要がありそうだ。

さらに、一足先の自動車は果たしてどうなるのだろうか。これらも各方面で議論され、一部実用化もされているが、物がインターネットのようにつながる「IoT化」に拍車を掛けるであろう。いずれ「運転手」という言葉が死語になるかもしれない。

運転手すら乗員の1人となり目的地さえ指定すれば歓談しながら自動で運んでくれる。まるでレールのない個室電車のようなものである。もはや車を個人の所有物とする必要性も皆無になってしまうだろう。

まとめ

VolvoのCompact Modular Architecture(CMA)

特に1980年代の前半までの国産乗用車は未完成の部分や試行錯誤が見え隠れするからこそ面白かった。「車との対話」を誤って操作したなら、意図せぬ方向に飛んで行ってしまうこともある。しかし、上手に車の癖を見抜き、絶妙に操る楽しさがある。それに向かって毎度車の顔色をうかがいながら練習することが至福の境地だった。

現代の新型国産車が出るたびに宣伝には「従来の1・5倍の車体剛性を達成」などが決まり文句として使われる。ただ、80年代から比べたら一体何十倍に剛性が上がったことになるのかと小首を傾けてしまう。現代の車は実に立派な出来栄えである。しかし、完成され過ぎて車が運転手の無意識な動作まで補いたがるような「過保護」が個人的には好ましく思えないのだ。

このようにプラットホームが完成の域に入り、車の自動運転の未来が間近となり、自動車業界はこれから大きく変遷していくはずだ。個々のメーカーごとに個性派がそろった車造りは終幕となりそうだ。この意味からも「操って面白い」1980年代までの自動車を超える代物はこれから先に出会えないのではないだろうか。

電動化と自動化がますます進む自動車の未来。車好きにとっては「明るくない未来」のようにまとめてしまったが、これが時流を読んだ現実と言わざるを得ない。愛煙家もたばこを取り上げられていくように「環境保護」「安全」や「健康」の大義名分の下、反論の余地がない「一本道」を自動車も突き進んでいくはずだ。

何でもうなずいてくれる「未来の自動車」に、どこか物足りなさとを感じるのは、きっと私だけではないはずだ。

(出典:株式会社SUBARUボルボ・カー・ジャパン株式会社いすゞ自動車株式会社トヨタ自動車株式会社

*1:アジア大陸の東部を占める国。中国革命の成功により1949年10月1日,毛沢東を主席として成立。中国共産党の指導の下で,土地改革,農業の集団化,数次の五か年計画などを遂行し,文化大革命による混乱を克服して「四つの現代化」を掲げ,社会主義国家建設を目指している。国家の最高機関は全国人民代表大会。首都,北京。面積960万平方キロメートル。人口13億。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*2:〔India から。「印度」とも書かれる〕アジア南部の連邦共和国。インド半島の大半を占める。二八州と中央政府の七直轄地から成る。住民の多くはヒンズー教徒。カーストが残存している。バラモン教・仏教・ヒンズー教の発祥地。インダス文明が栄えたのちアーリア人が侵入。紀元前四世紀のマウリヤ朝による統一以後も統一と分裂を繰り返し,イスラムも侵入。一六世紀末にムガル帝国が成立するが,1600年イギリスが東インド会社を設立し植民地化を進め1858年直轄領とした。1947年イスラム教徒の多いパキスタンとは別個に独立。連邦公用語はヒンディー語と英語。首都デリー。面積328万7263平方キロメートル。人口12億1000万(2011)。正称,インド。対内的にはバーラトを国名として用いる。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:〔Association of Southeast Asian Nations〕東南アジア諸国連合。1967年,タイ・マレーシア・フィリピン・インドネシア・シンガポール五か国が結成した地域協力機構。決定機関である外相会議の下に常設の事務局,経済閣僚会議などを有する。84年ブルネイ,95年ベトナム,97年ラオス・ミャンマー,99年カンボジアが参加,ASEAN 10 が実現した。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*4:【France】ヨーロッパ西部,大西洋と地中海に面する共和国。農業生産,特に小麦・ワイン・トウモロコシの生産が盛ん。また,鉄・ボーキサイトなどの資源も豊富で鉄鋼・石油化学・航空機・機械などの工業も発達。世界的な観光国。古くガリアといいローマ帝国の属州。中世,西フランク王国の地。一七~一八世紀にはヨーロッパに君臨。1768年コルシカ島をジェノバ共和国から購入。89年フランス革命が起こり,92年王制が廃され,共和制が樹立。ナポレオン一世の第一帝政を経て,1848年二月革命により第二共和制,52年第二帝政,普仏戦争後の第三共和制,第二次大戦後の第四共和制,1958年ド=ゴール政権による第五共和制を経て現在に至る。住民はラテン系で大部分がカトリック教徒。首都パリ。面積54万4千平方キロメートル。人口6503万(2011)。正称,フランス共和国。〔「仏蘭西」とも当てた〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*5:【ポルトガル Inglez】ヨーロッパ大陸の北西方,グレート-ブリテン島とアイルランド島の北東部から成る,立憲君主国。正称はグレート-ブリテン及び北アイルランド連合王国。紀元前七世紀頃よりケルト人が渡来し先住民を圧倒。ローマの支配を経て,五世紀頃から移住したアングロ-サクソン人がイングランドの大部分を制圧。1066年ウィリアム一世がノルマン朝を開く。一三世紀末にはウェールズを支配下におく。1603年スチュアート朝時代に,スコットランドとの同君連合を形成。1801年アイルランド島を併合(北アイルランドを除く同島の大部分は1937年エール共和国として独立)。一八世紀に世界各地に植民地を築き,一九世紀には大英帝国として黄金時代を迎えた。早くから議会政治が発達している。産業革命以来の工業国。首都ロンドン。面積24万3千平方キロメートル。人口6180万(2010)。〔「英吉利」とも当てた〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*6:【オランダ Duits(land)】〔ドイツ Deutschland〕ヨーロッパ中央部,北はバルト海と北海に臨み,南はアルプス山脈に達する連邦共和国。一六州から成る。古代ゲルマニアの地。962年から1806年まで神聖ローマ帝国の主要部を成したが,多くの領邦国家が分立。71年プロイセンを中心として統一を達成,ドイツ帝国を建設したが,第一次大戦に敗れ,ドイツ革命を経て共和国(ワイマール)になる。1933年ナチスが政権を獲得,第二次大戦の敗北により,49年米・英・仏の占領地区にドイツ連邦共和国(西ドイツ)が,ソ連占領地区にドイツ民主共和国(東ドイツ)が成立したが,90年前者が後者を吸収合併して統一国家を形成。鉄鋼・機械・電機・自動車・造船などの工業が発達。言語はドイツ語,首都ベルリン。面積35万7千平方キロメートル。人口8180万(2009)。正称,ドイツ連邦共和国。〔「独逸」とも当てた〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*7:【electric vehicle】電気自動車。電池をエネルギー源とする車。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*8:【global】世界的な規模であるさま。国境を越えて,地球全体にかかわるさま。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*9:【platform】自動車生産で,異なった車種の間で共通に用いる車台。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*10:【suspension】自動車などで,車輪と車体をつなぎ,路面からの衝撃や振動が車室に伝わるのを防ぐ装置。懸架装置。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*11:【steering】〔ステアリング-システムの略〕自動車の方向変換装置。〔ステアリング-ホイールの略〕自動車などのハンドル。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*12:【engine】 種々のエネルギーを機械的力または運動に変換する機械または装置。機関。発動機。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*13:【transmission】 動力伝導装置。変速機。トランスミッション-ギアの略。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*14:【hatchback】ファーストバック形式の乗用車のうち,後背部に船のハッチのようなはね上げ式のドアが付いているもの。リフト-バック。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*15:【minivan】貨物兼用の箱型の乗用車。ステーション-ワゴンより少し大きなものをいう。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*16:他社が開発した製品を,一定のロイヤリティーを支払って実施権を得てその社の仕様どおりに生産すること。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*17:【chassis】〔シャーシ・シャシーとも〕自動車・電車などの車台。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*18:【Formula One】国際自動車連盟の規定する単座席のレースのうちで最高の性能と格式をもつレースの分類。世界各国を転戦する選手権シリーズ戦を行う。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*19:【recreational vehicle】 野外のレクリエーションを目的とした車両の総称。レクリエーショナル-ビークル。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*20:フランスのパリからセネガルのダカール(Dakar)までの一万数千キロを走行する,自動車とオートバイのラリー。サハラ砂漠を縦断する。パリ-ダカ。〔コースやスタート・ゴール地は変更されるが,常にパリ-ダカール-ラリーと呼ばれる〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*21:【World Rally Championship】世界ラリー選手権。世界中のコースを使用して年 10 数戦行う自動車ラリー。1973 年開始。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*22:【rotor】機械部品で,回転するものの総称。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*23:【turbo】排ガスを利用してタービンを回し,混合気を強制的にシリンダー内に送り込んで圧力を高める,エンジンの補助装置。出力・トルクを高め,併せて燃費向上に役立つ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*24:【grade】階級。等級。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*25:〔four-wheel drive〕自動車で,前後の四つの車輪すべてに駆動力を伝える方式。4WD 。四駆。全輪駆動。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*26:【body】〔「ボデー」とも〕自動車の車体,航空機の機体,船舶の船体など,本体部分の称。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*27:【type】型。型式。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*28:【project】新しいものを考え出し,実用化するための研究や事業。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)